サイトアイコン WOW-MEDIA

映画「日本暗殺秘録」がDVDされなかった理由とは?

いきなり「暗殺は、是か!? 否か!?」…
と、ものスゴい2択を迫られるキャッチコピーから尋常でない雰囲気を漂わせるのが、1969年公開の「日本暗殺秘録」です。

幕末の「桜田門外の変」から「紀尾井坂の変」、「大隈重信襲撃」、「星亨暗殺事件」、「安田善次郎暗殺事件」、「ギロチン社事件」、「血盟団事件」、「二・二六事件」まで、日本の歴史影を落とした暗殺事件を描いた実録オムニバス作品です。

「にっぽん’69セックス猟奇地帯」でヒットを飛ばした中島貞夫監督が「エロの次はテ口」とばかりに、血しぶきが飛び散る過激なスプラッター描写を取り込みながら、暗殺シーンを再現していった作品です。

特に力を入れて描かれるのが、千葉真一さんが主犯の小沼正を演じた血盟団事件…
1人の純粋な青年が、やがて暗殺にいたるまでの心情の変化を丹念に描写しました。

脚本を担当した笠原和夫さんは実際に小沼氏本人にも取材をし、権力や財閥を敵に回して民衆のために立ち上がるテロリストを賛美するようなテイストになっています。

学生運動が盛んだった時代に公開されたヒット作であり、若山富三郎さん、菅原文太さん、高倉健さん、鶴田浩二さん、片岡千恵蔵さんなど、オールスターが集結した超大作でもあるのですが、なぜか40年以上、一向にDVD化などがされずに封印されてしまったのです。

その理由として、テロリストを正当化するような視点で描かれていることや、本編のクライマックスで二・二六事件で死刑に処された陸軍将校たちが「天皇陛下、万歳!」と叫びながら殺されていく描写が問題となったなど、様々な説が噂されました。

のちに、制作前に自民党の議員から中止を迫る圧力を受けていたことや、明治天皇の暗殺を目論んだ大逆事件も盛り込もうとしていたことが判明し、ますます封印解除は難しいとされていましたが、2011年にDVD化が実現、無事に発売されたのです。
世界的にテロが頻発し、ますます混沌さを増した現代だからこそ、さらに意味が深まる作品だったといえるでしょう。




Sponsored Links
モバイルバージョンを終了