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ドラマ「ギフト」のDVDが発売されない理由とは?

1990年代末期から2000年にかけては、木村拓哉主演のいわゆる”キムタクもの“のドラマの全盛期でした。
「ロングバケーション」(1996年)、「ラブジェネレーション」(1997年)、「ビューティフルライフ」(2000年)と、恋愛ドラマが定番だった”キムタクもの“にあって、社会派のテーマを描いた1997年の「ギフト」は異色作だったといえるでしょう。

51億円を横領して失踪した厚生省(当時)の官僚・岸和田(緒方拳)の共謀者・奈緒美(室井滋)は、岸和田の部屋にあるクローゼットの中から、血まみれの若者(木村拓哉)を発見します。

男は記憶を失っていたため奈緒美に由紀夫と名付けられ、特殊なギフトを配達する仕事「届け屋」をして働き始めました。
その裏稼業を通じて様々な人間と出会った由紀夫は、次第に不良時代の記憶を取り戻していく…
という話です。

ブランドもののスーツを着て葉巻をくわえ、ブライアン・フェリーの「TOKYO JOE」をテーマソングに都会でマウンテンバイクを乗り回すキムタク…
脚本を担当した「らせん」、「ドラゴンヘッド」などを監督した飯田譲治は、松田優作の代表作「探偵物語」のようなアンチヒーロー路線を狙ったといいます。

たしかに、全盛期のキムタクは、男女問わず誰もが憧れる対象でした。
しかし制作者が狙ったその“カッコよさ”が、作品にとって悲劇となるのです。

1998年、栃木県黒磯市の中学校で女性教諭を男子生徒が殺害する事件が起きました。
加害者の少年は、「なぜ凶器にバタフライナイフを使ったか?」と問われ、ドラマ「ギフト」でバタフライナイフを振り回すキムタクを「カッコいい」と思い、「凶器に使用した」と供述したのです。

この報道がされるなり、再放送中の「ギフト」は即時放送中止…
放送を予定していた局も番組を変更しその後、同番組の再放送は全国的に放送自粛となりました。
現在もDVDは未発売という状況です。

しかしながら、ドラマの内容は不良少年を肯定するものではありませんでした。
制作者が作品に込めたのは、「人は変われるのか?」という人間らしいテーマだったのです。
そして「嫌な過去を持つ自分と決別するところ」に、新たなヒーロー像を見出していたというだけだったのです。




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