約10年にわたり1990年から「週刊少年マガジン」で連載されたヤンキー漫画「カメレオン」は、チビで喧嘩の弱い矢沢栄作が、ハッタリだけを武器にして、曲者ぞろいの不良たちに勝利して成り上がる様を描いた物語です。
この漫画が人気を博した秘密の一つはヤンキーとの喧嘩描写の合間に挿入される「精か子!性器の対決(生か死か! 世紀の対決)」といった下ネタを絡めたダジャレや、特撮・アニメなどをパロディしたギャグシーンだと言えるでしょう。
様々なネタを盛り込んで読者を喜ばせた作品だったのですが、そのサービス精神が仇となって、単行本未収録のエピソードが存在するのです。
それは登場人物の相沢直樹と坂本昌明が松本零士氏の「銀河鉄道999」の鉄郎とメーテルのコスプレをするエピソード(1997年7月30日号・第322話「YAZAWA友情物語」)です。
問題になったのは鉄郎に扮した坂本が、メーテルのコスプレをした相沢の美しさに興奮してしまい、自分の股間を彼に触らせて、「メ、メーテルボクの戦士の銃はもうコチコチだよ~」と下ネタを炸裂させる場面でした。
この話の存在を知った松本零士氏は激怒して、講談社と「カメレオン」作者の加瀬あつしにクレームを入れたといいます。
その結果、翌週の「週刊少年マガジン」にはお詫びの文面が掲載され、このエピソードは単行本には未収録になってしまいました。
ちなみに、この回では、弱味を握られた相沢がアニメショップの店頭に飾ってあるエヴァ初号機の立て看板を引き抜いて盗んでくるように命令される場面があります。
看板の裏面にはセーラームーンが描かれており、店内の客からは相沢がセーラームーンに腰を振ってるようにしか見えないというギャグシーンもあるのだが、こちらは問題にならなかったようです…
パロディネタを連発して感覚が麻痺していたとはいえ、相手は歌詞の盗作問題で槇原敬之氏と騒動を起こしたこともある松本零士氏…
その彼の作品を軽はずみに扱ってしまったことは、編集部と作者の判断ミスだったとも言えるでしょう。
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