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漫画「アシュラ」…結末まで完全版がリリースされない理由とは?!




ジョージ秋山氏による漫画「アシュラ」…

本作は、「週刊少年マガジン」(講談社)に1970年32号から1971年22号まで連載されましたが、人肉食などの過激な描写に世間の非難が殺到した最大の問題作でもありました。

「週刊少年マガジン」が有害図書指定されつ原因となった本作を詳しく見ていきましょう。

主に軽妙なギャグ漫画を描いていたジョージ秋山氏が「銭ゲバ」に続き、「週刊少年マガジン」で連載開始したハード路線作品が「アシュラ」です。
その第1話では、応仁の乱により飢餓が蔓延した世界が描かれ、冒頭から言葉を失う残酷な地獄絵図が展開されます。

そこら中死体だらけで、ウジがわき腐敗臭が立ちこめる村。
食料がないため人殺しがくり返され、みな人肉を喰らって生き延びているのです。

そして、その中に我が子を焼き殺して喰おうとするオンナがいました。
このオンナの子供がアシュラです。

その時、落雷によってアシュラは川に押し流され、岸に辿り着くも誰にも育てられないまま獣同然に生き抜きます。
ある時、人狩りに捕まり連れていかれた先で人間としての生活、仲間、愛情を知りますが、生みの親と出会ったことで凄惨な出生の秘密、自分が決して家族との生活を過ごせないことを知り苦悩します。
そして、その地に見切りをつけたアシュラは、自分を慕う孤児達を引き連れ都を目指す、というストーリー。

この衝撃的な描写はすぐに物議を醸すこととなり、「残忍、不道徳のうえに犯罪性がある。非常識であると同時に青少年に悪影響を与える」と、神奈川県では掲載誌の「週刊少年マガジン」が有害図書指定されてしまいます。

これを受けて「週刊少年マガジン」には、「連載まんが『アシュラ』の企画意図について」という一文が掲載され、「第1回に描かれた地獄絵図的世界は当然主人公のこれからの精神的成長の中で否定され、神なるもの、仏なるものへのひたむきな希求を通して、豊かな人間社会を建設していくドラマを描こうという構想であります」との説明がなされました。

食人描写について決して非道徳的行為を助長するものではないとしたのです。

その後の展開は賛否両論がありますが、連載をまとめた単行本は「週刊少年マガジン」を発行していた講談社から発行されることはありませんでした。
いくつかの出版社から単行本が出版されていますが、どれもカットされたページが存在し、連載時の原稿がすべてそろった完全版はリリースされていません。

また「完結編」と題するエピローグが「週刊少年ジャンプ」誌上で発表されており、こちらは短編集に収められています。

2012年には「アシュラ」のアニメ映画が制作されました。
冒頭のシーンはもちろん描かれましたが、ソフト化もされていて、こちらは無事に糾弾や抗議を受けることなく、公開されました。




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