巨匠・ちばてつや氏のゴルフ漫画「あした天気になあれ」。
当時、「チャー・シュー・メン!」の掛け声は国内ゴルフ界で大流行した有名なセリフともなりました。
あらすじは中学生の向太陽(むかいたいよう)が、女手一つで自分たち4人の兄妹を育ててくれた母を楽にさせるため、荒川河川敷沿いのゴルフ場の練習生としてプロゴルファーを目指すというもの。
そして、師匠の竜谷の指導や同じくプロを目指す受験生との勝負を経て、史上最年少でプロテスト合格を果たします。
プロとして数々の大会に出場した太陽は、ついにゴルフの聖地セントアンドリュースで開催される全英オープンの大舞台に立ちました。
全58巻の「あした天気になあれ」。
最終回はどのようにして終わるのでしょうか。
向太陽が出場した全英オープンは、プレーオフでも決着はつかず、ついに太陽と帝王ニクラウスのサドンデスに突入しました。
一進一退のまま迎えた18番ホール。
帝王のティーショットは、強い追い風に乗ってグリーンを捉え、7メートルを残して止まります。
絶体絶命となった太陽もアドレスに入りますが、気まぐれな風は止んでしまします。
太陽はそれでも打つと息巻くのですが、キャディのトムはそれを制止し、風を待つように指示しました。
若いトムに、老猶なレスのように風を読めるのか…
全員が固睡を呑んで見守る中、ついに待望の風が吹いたのです。
太陽のショットは、風に乗り高く舞い上がります。
それが止まった場所は、ピンから20センチでした。
一転して追い詰められた帝王は、必死の形相でラインを読みます。
そして、その目に一筋のラインがくっきりと浮かび上がりました。
帝王のパットは完壁にラインに乗りカップに向かいます。
誰もがインを確信したその瞬間、ボールはカップに蹴られてしまいます。
そして、太陽のパット。
プレッシャーで無限とも感じられる20センチを、太陽は落ち着いて柔らかなタッチでボールを沈めました。
ついに死闘は終わり、太陽のジ・オープン制覇が決まったのです。
その頃日本では、かつての太陽のようにプロを目指して腕を磨く若い練習生たちが、続々とコースに飛び出していました。
彼らは一心にクラブを振ります。
第2の向太陽となることを夢見て。
スーパーショットで逆転するのは最終回としては定番の展開。
けれども、そこで終わらずに太陽の活躍に火を付けられた人々が描かれ、心地良い余韻を残してくれた最終回なのでした。
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