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漫画と宗教との関係は意外と深い件




漫画と宗教…
あまり関係のない2つのキーワード。
しかし実はこの漫画と宗教が意外と深い関係になることがあるのです。

2009年9月11日に、漫画「クレヨンしんちゃん」の作者、臼井儀人氏が亡くなりました。
この件は、事故だったと警察が正式に発表したため、話題は次第に下火になっていきました。

この事件は警察の発表通り、直接の死因が事故であったのでしょうが、作者の臼井儀人氏が宗教問題で悩んでいて、死にはその影響があったのではないかとする見方もあったのです。

この件は幾つかの週刊誌でも報道された事実ではあるのですが、臼井氏は「エホバの証人」という新興宗教に入っていたという話です。
このエホバの証人は「ものみの塔」とも呼ばれていて、戸別訪問をして機関誌などを配るという布教活動をしているので、ご存じの方も多いでしょう。

臼井氏はこの宗教の熱心な信者であり、自宅の隣の土地を買い上げ、そこを宗教施設にしていたほどでした。
臼井氏は奥さんと共に「エホバの証人」の熱狂的な信者だったのです。

しかし、臼井氏の実の母はそんな熱狂的な信仰に対して、反対していたと言います。
非常に穏やかで真面目な性格だったという臼井氏は信仰と母親との板挟みになり、非常に悩んでいたという話もありました。

ほのぼのとしていた「クレヨンしんちゃん」に、どこか殺伐とした展開がほのかに見えるようになったのもこの頃だと言います。
こんな状況があったからこそ臼井氏は悩み、一人でふらりと山に入ったのかもしれません。

臼井氏の母親がその信仰に対して強く反対していたのは、臼井氏が金銭的にも大きくエホバの証人を援助していたから、という話がありました。

なんと臼井氏は「クレヨンしんちゃん」のいくつかある印税用の通帳の中の一冊を、まるごと「エホバの証人」側に渡していたと言います。
これが本当であるとすると、その振込額は漫画の人気を考えると数千万円を超えていたのではないでしょうか。

漫画家が宗教に入れ込んでしまうという話は他にもあります。
有名なところで言えば、「金田一少年の事件簿」のさとうふみや氏は熱狂的な「幸福の科学」信者として知られています。
過去にも選挙で幸福実現党の一員として立候補したことも話題になりました。

また、幸福の科学は布教用に漫画なども制作しています。
その作品にもさとう氏は起用されていました。

この作品は金田一少年の事件簿を知る人にとってはなかなか衝撃的…
なぜなら、見慣れたキャラクターが幸福の科学の教えにのっとって、悪霊などと戦っているからです。

同様に幸福の科学信者の漫画家には、菊池としを氏もいます。
菊池氏は1980年代後半から1990年代前半にかけて、少年マガジンで「明王伝レイ」などオカルティックな作品を発表して人気があった漫画家でした。

菊池氏が幸福の科学のために描いた漫画が、幸福の科学を誌上で批判したフライデーの記者を地獄に堕とし、魂すら1000年以上も救われないという話を延々と描いていたり、講談社自体が悪魔に操られているという描写をしたりしているのです。

自身は講談社で長年連載していたのですが、この菊池氏は講談社で連載していた頃から、幸福の科学に傾倒していたとのことで、当時連載していた作品の末期には、明らかに幸福の科学の出版物から引用した説法のような展開が続いていました。

こうなると、出版社に敬遠されるのは当然…
その後、菊池氏は急速に表舞台から姿を消していきます。
現在は主に幸福の科学のグループ会社、幸福の科学出版発行の雑誌「ザ・リバティ」などに作品を発表しています。

他には宗教を自分で創ってしまった漫画家もいます。
1970年代に大ヒットし、一世風靡した「エースをねらえ!」の山本鈴美香さんがそうです。

山本さんは自分の作品を描くうちに、神がかってしまい「神山会」という宗教を立ち上げ、自らがその教祖となってしまったのです。
この宗教は山本さんが神と同化し、その言葉を信者たちに告げるという形で成り立っています。
その信者たちのほとんどは山本さんの著作のファンだとか。

また、過去に「花とゆめ」という少女漫画誌に「ぼくの地球を守って」という作品が連載されていました。
この作品は主人公たちは太古から輪廻転生をして来たという設定の物語で、前世の記憶や複雑な人間関係が絡み合い大ヒット。

その結果、あまりにこの作品に心酔してしまい、自分と主人公たちを重ね合わせてしまうファンの女の子が続出しました。
そして彼女たちは、雑誌の投稿欄や文通欄などで自分の前世の仲間たちを探そうとするといった行動に出たのです。

そこで知り合った女の子は手に手を取って家出をしたり、自殺未遂を起こしたりと社会現象にもなり、前世ブームと呼ばれました。
このブームは当時起こっていた教義に輪廻転生やハルマゲドンなど漫画的なモチーフを取り入れた新興宗教が話題になっていたため、同時に語られることが多かったのです。

そしてこの一件をきっかけに新興宗教へと走る若い女性も多く、まさに漫画と宗教の親和性の高さを物語るエピソードとも言えるでしょう。

自分の描いた漫画に影響を受けて、宗教的な方向へと向かい、宗教とまではいかないものの教団に近いものを立ち上げてしまったのは美内すずえさんです。

「ガラスの仮面」で有名な美内さんは「アマテラス」などの神々をモチーフにした漫画を描く内に「O-EN NETWORK」という精神世界研究団体を設立。

その団体には美内さんの作品の熱狂的なファンの女性たちが参加しています。
そこで美内さんは神のごとく振る舞っていたとか。

もともと物語を創作する人間は妄想過多な場合が多く、不思議なもの、普通では説明がつかないものに魅力を感じてしまう傾向にあるのではないでしょうか。
こうした背景もあり、漫画と宗教には意外と深い関係があったのです。




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