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「ぼ、ぼ、僕はおむすびが食べたいんだな」という名セリフを振りまきながら、坊主頭にランニングシャツという出で立ちの中年男性が全国を巡り、各所でハートウォーミングな騒ぎを巻き起こしながら美しい絵画を描いてまわる…
そんなおとぎ話のような作風で知られる1980年開始の人気ドラマ「裸の大将放浪記」です。
同作の主人公は、“日本のゴッホ”と呼ばれたサヴァン症候群の天才画家・山下清…
“個性の塊”を演じたのは、「見た目が似ているから」との理由で抜擢された名優・芦屋雁之助でした。
未だにお笑い芸人の「ドランク・ドラゴン」の塚地武雅が清を演じる続編がつくられるなど人気の作品ですが、実は雁之助版「裸の大将放浪記」には清が死ぬ最終回(第13話)が存在したのです。
それは「清が富士山に登る途中で力尽きて死んでしまう」という内容で、清の実際の命日である1971年7月12日(享年49歳)に近い1983年7月10日にオンエアされました。
本来ならば、この回をもって同シリーズは終了となるはずだったのですが、番組は制作陣の予想以上に人気が出てしまい、局では雁之助続投による番組再開の気運が高まったのです。
雁之助は「山下清」のイメージが定着するのを嫌い、「いい歳こいて裸になるのもつらい」とオファーを断り続けましたが、先輩俳優・宇野重吉の「役者として、当たり役が持てるのは幸せなこと」という忠告もあり、再び山下清を演じることを決意…
番組は83話まで続く国民的ドラマとなったのです。
そんな人気ドラマであるだけに、清が死んでしまっては続行不能という理由で、第13話は「なかったこと」にされました。
サンテレビでの再放送では第13話の放送はなく、発売されたビデオ全集にも未収録だったのです。
しかし、現在この幻の最終回は、DVDセットに映像特典として収録され、封印は解禁となりファンを喜ばせました。
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