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初期のアンパンマンはおじさんの切ないヒーロー物語だった?!

「アンパンマン」は、やなせたかし氏が生み出した大人気キャラです。
アンパンから生まれたヒーローが、宿敵のバイキンマンと戦う姿を描いた国民的なヒット作です。

しかし、初めて世間に登場したばかりのアンパンマンは、実はマントを身につけただけの中年男だったのです。
やなせたかし氏が、初めてアンパンマンを描いたのは1969年のこと…
「十二の真珠」なる短い作品集に収録された一編が原型でした。

主人公は、空を飛ぶ特殊能力だけを身につけた、身なりの汚い中年男…
周囲からは薄気味悪く思われていましたが、本人はとても高潔な性格の持ち主で、正義の心は人一倍でした。

そのため、独裁国家や紛争地帯に飛んでいっては、めぐまれない子どもたちにアンパンを配る仕事をしていたのです。
ところが、そこまで頑張ったにも関わらず、男は世間から受け入れられませんでした。

汚い見た目が災いして大人たちからはバカにされ、救った子どもからもダサいと言われてしまう有様…
それでもめげないアンパンマンは、ひたすら子どもを助け続けていましたが、ある日、軍機に敵と間違って撃ち殺されてしまうのです。
かくしてアンパンマンは誰にも知られずに世を去ったのですが、ヒーローの死を悲しむ者は1人もいませんでした。

…というような話で、ヒーローの孤独を描いた作品は今でこそ多いのですが、本作は、まさにその先駆けとも言える傑作でもあるのです。




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