子供に大人気の国民的アニメ「アンパンマン」のテーマ曲といえば、「アンパンマンのマーチ」です。
「愛と勇気だけが友だち」、「みんなの夢守るため」など、いかにも子供向けのヒーローソングといった印象が強いのですが、その裏には悲しいストーリーが隠されているのです。
この歌、実は、作者の故・やなせたかし氏が亡くなった弟を弔(とむら)うために書いたものなのです。
やなせ氏の弟が亡くなったのは、第二次世界大戦が佳境にさしかかった1940年代のことでした。
海軍に志願した弟の千尋さんは、自ら特攻隊に志願し、潜水型の魚雷で敵の艦隊につっこみ、若干22才の若さで息を引き取ったのです。
終戦後、日本にもどったやなせ氏は、まずは反戦の意図を込めて、初代のアンパンマンを世に送り出しました。
人のために戦いながらも報われないヒーローの姿を描いた傑作だったのですが、当時の編集者からは「暗い作風が時代に合っていない」と言われ、決して評価はかんばしくなかったといいます。
その後、大衆向けにアレンジした現在のアンパンマンが誕生…
そのアニメ版のテーマソングを依頼されたやなせ氏は、再び反戦の意味を込めた歌詞を書くことを思いつきます。
こうしてできあがったのが、現在の「アンパンマンのマーチ」なのです。
そう思って、あらためて歌を聞いてみると…
〇光る星は消える=特攻隊
〇時は速く過ぎる=特攻する日までの期日
〇君は行くんだ微笑んで=特攻隊の心境
など、戦争に重ねたようなフレーズが多いようにも感じます。
中でも印象的な「愛と勇気だけが友だち」なる歌詞は、愛と勇気だけを連れて死に向かうしかなかった特攻隊の表現だったというわけなのです。
なんとも深すぎるヒーローソングのお話でした。
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