漫画

「キャンディ・キャンディ事件」延々と繰り広げられる著作権争いとは?!




 

原作・水木杏子氏、作画・いがらしゆみこ氏による少女漫画「キャンディ・キャンディ」…
日本ではもちろんのこと、世界各国で反響があったほど、大ヒットとなった本作です。

しかし、裏ではとんでもないドロ沼裁判が繰り広げられていたことをご存知でしょうか…

どちらかが死ぬまで戦いは続く…
そんな声まで出てきているのが、1997年以降、著作権を巡る争いが泥沼化した本作「キャンディ・キャンディ」です。

1975年に「なかよし」(講談社)で連載を開始した「キャンディ・キャンディ」は、コミックスの累計部数1200万部、翌1976年に始まったアニメも大ヒット。
キャラクターグッズはバカ売れしました。
そんな「金の卵」を巡って、作画のいがらしゆみこ氏と原作者の水木杏子氏が対立、「キャンディ戦争」と呼ばれる激しい戦いをくり広げることになったのです。

ことの発端は、1995年までさかのぼります。
第1次キャンディブームから20年、ちょうど第1世代が母親となる時期もあって親子2世代をターゲットにした再ブームを仕掛ける動きが高まったのです。

いがらし氏はもちろん大賛成、積極的に動きましたが、一方の水木氏は「すでに完結した作品」と、リメイクや再ブームビジネスにことごとく反対しました。
それに業を煮やしたいがらし氏が強引にビジネスを推し進めてしまった結果、最初の訴訟が始まります。
それが1997年、水木氏による「キャンディグッズ販売の停止訴訟」です。
飯のタネを邪魔されたいがらし氏は、この裁判で「そもそも水木に著作権はない」と主張、原作者としての水木氏の存在を全否定して真っ向勝負に挑むことになります。

いがらしサイドは、まず、キャラクタービジネスは「絵」が基本。
作画担当者の権利が優先されるべき、と訴え、さらに「水木杏子は原作者といっても参考資料を提供しただけで著作権自体、存在しない」と主張しました。

これに対して水木サイドは、「キャラクターの価値は絵だけでなく人格にある。その人格を担当した原作者にも著作権がある」と反論。
名ばかりの原作者という主張にせよ、誰もが口ずさむ「そばかす、だって〜」のアニメソングの作詞は水木杏子氏が担当しているのです。
作品世界に深くコミットしているのは明らかで、どう考えてもいがらしの主張はおかしかった。
こうして最初の裁判は水木側があっさり勝利します。

結果、いがらし氏がキャンディでビジネスするには、すべて水木氏の許可を得る必要があり、なおかつ水木氏は、今後、ビジネスをする予定はないことを確認。
いがらし氏にすれば「無条件降伏」に等しい屈辱的な内容です。
よほど腹に据えかねたのでしょう。
いがらし氏は判決直後、自身のホームページで裁判への不満と、相変わらずの原作者否定。
「キャンディの権利は自分にある」という主張を崩さず、今後も好き勝手にやると息巻いたのです。

裁判で白黒つけても納得しないとなれば、次なる手は「経済制裁」です。

水木氏は講談社から「キャンディ・キャンディ」の出版契約を解除、単行本販売を停止することで、今後、キャンディの印税がいがらし氏に入らないようにしてしまったのです。
どれほど怒り心頭なのかがうかがえるでしょう。

それでもいがらし氏は、性懲りもなく何度も無許可グッズの販売をくり返し、その都度、水木氏による販売差し止め訴訟を食らって負け続けています。
あげくには2007年、キャンディそっくりの登場人物を使った「甜甜LadyLady」という新作漫画を台湾で発表。
ある意味、作者自身が「パクリ漫画」を描くという禁じ手を使い、キャンディビジネスに食らいつこうとしているのです。

ようするに、この「キャンディ戦争」、最初から最後まで水木サイドの圧勝であって、いがらしはフルボッコなのです。
それでもゾンビのごとく何度も何度も立ち上がるために「試合が終了しない」というのが実態なのです。

通常、こうした権利争いは、互いに「もっと金寄こせ」で揉める反面、最後は金欲しさに妥協するのがパターン。

しかし、このキャンディ戦争では、まったく妥協点が見いだせませんでした。
両者のスタンスがあまりにも違いすぎたのが理由といってよいでしょう。

実は水木杏子氏の別名は「名木田(なぎた)恵子」といい、本職は児童文学、少女小説業界の大御所なのです。

ジュニア小説は、長期間にわたり堅実に売れる優良コンテンツで、名木田(水木)クラスの大御所ともなれば下手なベストセラー作家よりも収入が多い…
出版界でのヒエラルキーもいがらしゆみこ氏より遙かに上の「大先生」なのです。

水木氏にすれば別にキャンディの稼ぎがなくてもちっとも困りません。

読者や視聴者にとってキャンディは少女時代の大切な思い出。
ジュニア小説の大御所とすれば、大切な作品ゆえにえげつないビジネスを許せないのです。
一発大当てしたキャンディで、いつまでも荒稼ぎをしたいといういがらし氏と相容れないのは当然なのです。

いずれにせよ、水木氏は「いがらしゆみこ」が存在している間、「キャンディ・キャンディ」を封印し続けるはずです。
キャンディ復活の日は、まだ当分、やってこないでしょう。




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