「悪のカリスマ」を描いた本作は、「コミックモーニング」(講談社)において1987年13号から1989年6号に掲載されました。
いじめられっ子の竹田翔丸は、ある時自分の頬をカッターナイフで切ったことから、自身の奥に潜んでいた悪の天才を目覚めさせます。
カッターナイフで傷をつけた者を心酔させる能力を持つ翔丸は、元いじめっ子の渡辺を手始めに、自身が認めた人物を次々と翔丸組に誘い、支配下に置いていきます。
そして、日本を手中に収めることを望んだ翔丸は、日本を動かす裏の勢力と対決することを決意するのです。
さて、最終回ではついに日本を手にした翔丸は一体どうなるのでしょうか。
日本を動かすフィクサーとして君臨した神堂一が突然の引退を発表します。
その後事を託されたのは、右の頬にカッターの傷をつけた三人の高級官僚でした。
新聞記者の田所陽一は、彼らの傷とその傷を宝だという言葉に聞き覚えがありました。
田所は以前取材した水明新教の元巫女・宇佐美薫に再び会い、彼らに何かの繋がりがあると感じ取り、独自の調査を開始します。
そして、同じように頬に傷を持つ政治家から、竹田翔丸という少年の存在を知らされるのです。
しかし政治家は言います。
取材を受けたのは翔丸という人物の素晴らしさを世に知らしめることだと…
その頃神堂は、自宅の窓から外の風景を眺めていました。
そして、これまで見過ごしてきた世界の美しさに、ただ涙します。
田所の取材は続きます。
しかしそれ以降、翔丸について有力な証言を得ることはできず、かつて翔丸と佐伯明男の対決を目撃した白石友代にいたっては、その時の翔丸の恐ろしい目を思い出したくないとしか言いません。
取材は米軍基地に及びましたが、そこでも何の確証も得られませんでした。
人々でごった返す新宿駅前を、田所は疲れた体で歩きます。
欠伸をした拍子に学生服を着た少年とぶつかる田所。
その相手の顔を見て、田所は凍りつくのです。
ゲームセンターに入った少年は、スロットゲームに勝てないとボヤく子供に近付き、「コイン1枚貸してごらん」と声をかけました。
結局、翔丸の正体は明らかになりませんでしたが、コインゲームで彼がどんな奇跡を起こすのか想像すると、神堂との対決の時のように背筋がゾクゾクします。
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