日本を代表する国民的漫画の一つ「ドラゴンボール」。
もちろん、海外でも非常に高い人気を誇っています。
単行本の国内累計発行部数は完全版を含めて1億6000万部以上(2016年時点)で、全世界累計発行部数は2億5000万部以上を記録(2018年時点)。
テレビアニメは11年間平均視聴率20%以上で、主題歌の「CHA-LA HEAD-CHA-LA」を収録したCDは170万枚の売上を出しました。
近年でも、第42回日本アカデミー賞「優秀アニメーション作品賞」(2019年)、Crunchyrollアニメアワード「ベストアニメシリーズ賞・1位」(2019年)、CEDEC AWARDS「ゲームデザイン部門・優秀賞」(2019年)などを獲得し、その人気は世界的にも広く知られる漫画・アニメであることは言うまでもありません。
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ところが、アニメ「ドラゴンボール」の最高視聴率65%という驚異的な数字を残すフランスでは、その暴力的表現が問題視され、放送中止になったことがありました。
また、アメリカやフィンランドを始めとして海外では「児童ポルノ」にあたるとしてコミックスが販売禁止になったり、学校の図書館から撤去、アニメの放送時間を深夜に変更するなどの対応が取られるケースもあったと言います。
これは胸に顔をうずめる「ぱふぱふ」や、男女の判断をする「ぱんぱん」などが引っ掛かったのではないかとも言われています。
一方、鳥山明氏が原作のドラゴンボールとは別に、生まれた作品として「ドラゴンボールAF」というものがありました。
この二次創作物が誕生した経緯については諸説あるのですが、アメリカのとあるファンサイトが、エイプリルフールのジョークのつもりで作ったと言う説が有力だと言われています。
ドラゴンボールAFはドラゴンボールの続編という設定で、元々は物語のみが作られていましたが、後に複数のファンがキャラクターのイラストを創造したものなのだとか。
翻訳によって多少の違いはあるのですが、そのストーリーは概ね以下の通りです。
物語はさかのぼり、ナメック星でフリーザを撃破した孫悟空は地球に戻る途中、立ち寄ったある星で1人の美女ライラと出会います。
ライラは悟空を誘惑するも、悟空は妻のチチを思い拒否。
するとライラは悟空の睡眠中、気付かれないようにこっそりと関係を結んでしまうのでした。
その惑星の神であるライラは悟空の飛び抜けた能力を見抜くと、悟空の子供を身ごもり、究極の生命体を誕生させようとしていたのです。
そうとは知らずに旅立つ悟空。
ライラは生まれた子供にザイコーという名を付けました。
時は流れ、悟空の孫のパンには死期が近づいていました。
悟空Jr(パンの孫)はパンを生き返らせるためにドラゴンボールを集め、パンを生き返らせようとします。
しかし、時空間に異常が起こり、悟空たちが生きていた時代へと時間が戻ってしまいました。
一方、宇宙最強の戦士へと成長したザイコーもドラゴンボールを探しており…
というのがあらすじです。
ややツッコミどころのある展開ですが、実際に日本語に翻訳されたストーリーも多く掲載されていました。
この他にも、海外では「ドラゴンボール」のファンサイトが教数多く立ち上げられており、2人組のフランス人が制作した「ドラゴンボールマルチバースト」という作品も有名です。
内容の善し悪しは読む人の好みにはなりますが…
海外で氾濫する模倣品や海賊版は論外ではあるものの、続編を望むファンの声が多いということは明らかです。
また、偽物ではあるものの、一部では絶賛の声もあるという「ドラゴンボールAF」に対して、ハリウッドが総力を結集して制作した実写版映画「ドラゴンボールエボリューション」は各方面から非難が巻き起こりました。
「ドラゴンボールエボリューション」の公開に先立ち、原作の鳥山明氏は、
脚本やキャラクター造りは原作者としては「え?」って感じがありますが、監督さんや俳優の皆さん、スタッフなど、現場は超優秀な人達ばかりです。ボクやファンの皆さんは別次元の「新ドラゴンボール」として鑑賞するのが正解かもしれません。もしかしたら、現場のパワーで大傑作になっているかもしれませんよ! おおいに期待しています!
と大人の対応と言えるコメントしています。
そもそも、鳥山氏はドラゴンボールの連載終了時期をめぐって、集英社と確執があったとも言われていました。
週刊少年ジャンプでダントツの人気を誇り、漫画のみならず、アニメ、グッズ、ゲームなど日本経済にも大きな影響力を及ぼすと言われるほどに商品として成長したドラゴンボール。
もはや作家個人の意見では動かすことができなくなっていたと言います。
シンガーソングライターで、自他ともに認めるドラゴンボールマニアのGACKTさんは自身のプログで怒りを露わにしています。
この映画のハリウッド制作陣は鳥山明氏を舐めてる!!!彼に対して、失礼極まりない。ふざけんなって思う
と。
このように漫画や小説の映画化やドラマ化にあたって、原作の世界観を著しく損ねるケースは意外とあるのです。
他にも、台湾版の実写版ドラゴンボールでは、主人公の悟空はちょっとキムタク風で、ブルマはかなり年上な設定になっています。
ウーロンと思われる人物は黒人の男性で、ヤムチャはカウボーイハットをかぶり、肩にはプーアルでなくオウムを乗せていました。
このメンバーで、携帯電話のような形をしたドラゴンレーダーでストーリーが展開していきます。
また、韓国版の悟空は鼻の穴をマジックで塗った子供で、チチはデカいヘルメットをかぶった幼い女の子。
ウーロンの顔はかぶり物で、体は大人の人間でした。
どんな国でも実写版になると、クオリティーや世界観は変わってしまうものなのでしょうか…
ただ一方で、ドラゴンボール漫画やアニメが世界中で支持されている紛れもない事実。
アメリカでは、2019年1月16日に劇場版「ドラゴンボール超 ブロリー」が公開。
21世紀以降公開の作品では初の快挙となる公開初日に興行収入700万ドルを記録し、全米初登場1位を達成しています。
中南米(メキシコ、エクアドル、アルゼンチン、コロンビア、チリ、ブラジルetc)でも「ドラゴンボールZ 神と神」は最初の週末だけで約8億5000万円の興行収入を達成。
最終的な興行収入は中南米全体で1558万ドル以上(約17億3000万円)を記録しています。
ヨーロッパ圏で言えば、フランスでは漫画をフランスの大衆に根付かせたのはドラゴンボールであるとも言われ、フランス語版コミックスの販売部数は、2019年時点で3500万部を記録していると言います。
ドイツでは2015年時点で国内800万部以上を記録し、「ドイツで最も人気のある漫画」と称され、デンマークにおいては人口が550万人ほどでありながら、150万部を超える販売部数を記録しています。
こうして見ると、日本が誇る大人気漫画・アニメのドラゴンボールが世界中で愛され、その結果、様々な続編が期待されるのも否めないかもしれません。
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