燃える(炎上)どころか大炎上したのが、本宮ひろ志氏作の「国が燃える」でしょう。
2002年から「ヤングジャンプ」で連載を開始した漫画で、内容は日中戦争から満州国建国、その崩壊までを描くという本宮氏が得意とする歴史漫画でした。
満州を中心に日本の近現代史を扱う以上、当然、日中戦争が大きなテーマとなります。
連載から約2年が経った2004年9月…
87話まで進んだとき、旧日本軍による南京占領、「南京事件」を取り上げました。
ここで問題が起こります…
いわゆる「南京大虐殺」を史実として扱い、旧日本軍の残虐な虐殺行為をこれでもか、と描いてしまったからなのです。
南京大虐殺問題は、現在でも日中間ではナーバスな政治課題であり、国内でも虐殺があったのかどうかで保守層とリベラル層が激しく論戦をくり広げています。
これに本宮ひろ志氏は、「虐殺があった」として描いてしまったのです。
当然、「虐殺否定派」は猛反発、集英社に1日20件以上のクレームが殺到しました。
抗議は「嘘を描くな」、「本宮ひろ志は間違った資料を使い、誤った認識を読者に植え付けた」など激しい内容で、これに一部地方議員も同調、一般メディアが取り上げる騒ぎへと発展したのです。
事態を重く見た集英社とヤングジャンプ編集部は、「不適切と指摘された個所は検討を重ね、適切な処置と読者への経過説明をする」とコメント…
さらに「描写の参考にした写真は『ねつ造された』との指摘もある。そういう資料を使ったのは不適切だった」として、「国が燃える」の休載を発表しました。
さらに「ヤングジャンプ」本誌でも2ページにわたって同様の声明文を掲載…
問題箇所となった21ページ分を単行本には収録しない旨を伝え、騒動の鎮静化を図ったのです。
ここまでミソが付けば、連載再開後も人気は上昇せず、3カ月後となる2005年1月に終了…
「国が燃える」どころか、「漫画が炎上」してしまったわけです。
とはいえ、逆に南京大虐殺がなかったと描けば、今度はリベラル層…
下手をすれば中国からクレームが来たかもしれなかったでしょうが。
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