藤子不二雄Ⓐ氏による漫画「狂人軍」…
藤子不二雄Ⓐ氏の「狂人軍」は、「週刊少年チャンピオン」に1969年から連載された作品です。
新連載時のトビラには「人はみなおおかれすくなかれくるっているのだその中で純粋な心の持ち主が本格的なキチガイになるだけなのだエイブラハム・ベートーベン」という言葉がありますが、そもそもそんな人物は実在しないことからもわかるように、徹底的に狂った人間と狂った言動しか出てこないナンセンス作品となっています。
登場人物の全員がきちがいという、精神疾患を主題にした過激な内容の不条理系ギャグ漫画で、それに加え、実在の人物(主に野球選手)や読売ジャイアンツ、精神障害者に対する侮辱と取られかねない設定を含むため、現在も単行本化はされていません。
なお、タイトルにもなっている「狂人軍」は野球チームですが、中盤は野球とは無関係なドタバタ調のギャグ展開に終始しており、実際に野球試合を行ったのは最終話のオープン戦のみ。
しかも対戦相手の試合放棄というイレギュラーな決着になっています。
本作は、「気ちがい以外は中に入れない」という「狂楽園球場」にキチガイの振りして迷い込んだ主人公が、狂人軍の主砲である王選手(ビジュアルはトランプのキングにそっくり)が放ったポールに頭を直撃され本当に発狂してしまうという、現在の感覚ではどこから突っ込んでいいのかわからないエピソードからスタートします。
登場人物の面々は常に鼻水や脳みそを垂れ流し続け、人肉にかぶりつく犬や、「ラリパッパー!」となにを言ってるのかわからないサブキャラがわんさか登場します。
とくに抗議や非難などがあったというわけでもなく、単純にそれほど人気が出なかったために連載は14回で打ち切り。
作者の藤子不二雄Ⓐ氏が「お気に入り」というほどの作品だったといいますが、いまだに単行本化はされておらず、作者が執拗に”キチガイ”にこだわった内容に加え、タイトルの「狂人軍」があからさまに「巨人軍」を連想させるなど、現在では確実に復刻が不可能なため完全な封印作品となっているのです。
ちなみに作者の藤子不二雄Ⓐ氏曰く、「あの作品をわかってくれる人は通ですよ」とのこと…
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