寺沢大介氏による漫画「ミスター味っ子」。
1986年に第12回講談社漫画賞少年部門受賞した作品です。
中学生の味吉陽一は、亡き父が残した日之出食堂を、母と共に切り盛りしていました。
ある日、日之出食堂に立派な風采の老人が現れ、陽一の作るカツ井を食べ、その味に驚愕します。
その老人こそが、味皇料理会を主催し、料理界に君臨する味皇こと村田源二郎でした。
これをきっかけにして、陽一は様々な料理人と美味を競う勝負をすることになり、彼らとの出会いを経て、料理人として大きく成長していくというのがあらすじ。
味吉陽一と味皇の味試し三番勝負は、陽一の一敗一分で、最後の「味試し」を迎えていました。
「米を使ったまったく新しい料理」というテーマに、味皇は米を野菜として扱ったサラダを出します。
元はと言えば、米も野菜の一種、味皇の大胆な発想に陽一たちは衝撃を受けるのでした。
焦る陽一。
そこへ姿を消していた一馬が現れ、「オレを信じてこれを使え」と一包みの米を渡します。
半信半疑のままの陽一でしたが、一馬の米に賭けることを決意しました。
出来上がった料理は、揚げお焦げの中華あんかけだったのです。
その鮮烈な香りに、居並ぶ料理人たちは感嘆の声を上げました。
いよいよ試食となり、味皇の料理は、米本来の味わいを最大限に引き出す味皇の技と相まって審査員の賞賛を受けます。
やがて、陽一の料理が試される番となりました。
お焦げのパリパリの食感とそれに絡む中華あん。
けれども極めつけは、日本人の原点に訴える、芳醇な香りでした。
満場一致で陽一の勝利が決まります。
その決め手となった米の正体は、一馬が不眠不休で探した幻の香り米。
陽一と一馬の友情が最高の料理となったのです。
この結果に味皇は満足し、陽一はすでに味皇料理会で学ぶことは何もないと、陽一を味皇料理会に招くことを断念します。
そして、陽一の成長を見届けた味皇は、静かに目を閉じました。
歓喜の声に送られ、陽一は母の待つ日之出食堂に帰って行ったのです。
全19巻の最終回「最後の決戦」はこうして幕を閉じました。
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