明治の御世、東京で剣術道場を営む神谷薫は、緋村剣心というとぼけた流浪人と知り合い、成り行きから道場に迎えることになります。
けれども剣心は、幕末に「人斬り抜刀斎」と恐れられた剣客でした。
今は不殺の誓いを立て、弱い者のために逆刃刀を振るう剣心でしたが、その腕前が評判になるにつれ、過去からの刺客が襲い掛かってくるようになります。
しかし、それでも剣心は、あくまで「不殺」を貫き死闘を繰り広げるというのがあらすじ。
雪代縁との決着がついてから数年後、青年の姿に成長した明神弥彦が神谷道場を訪れました。
弥彦を道場に上げた剣心は、突然、一本勝負を挑んできます。
その日は弥彦の十五歳の誕生日。
武士の子が元服し成人となる日でした。
その大切な日に剣心は、弥彦が一人前となったかを、自らの剣で見定めるつもりだったのです。
久々に見る剣心の本気に気圧される弥彦。
しかし剣心は、臆せずこれまでの戦いでその身に刻んできた全てを一撃に込めるだけでいい、と教えます。
弥彦は気を取り直し、木剣を構え剣心と対時します。
その姿に、剣心は「それでいい」とうなずきました。
薫の号令と同時に、二人は運身の力を込めた一撃を放ちます。
静寂が訪れ、薫の目に映ったのは相打ちになった二人でした。
しかしその直後、弥彦は膝をつきます。
負けを認める弥彦に、剣心は「だが、いい一撃だった」と褒め、元服の祝いとして逆刃刀を差し出しました。
固辞する弥彦に、剣心は「勝ち負けではなく弥彦の一撃を見て決めたこと」と言い、ついに逆刃刀を託すのです。
剣心は、その刀で己を磨き、自分を超えろと告げ、弥彦も力強く応えました。
道場を辞した弥彦を見送る剣心に、薫は頬の傷が薄くなったと言います。
しかし剣心は、この傷は一生消えないだろうと寂しく笑いました。
薫は心の中で言う。
「とりあえず、おつかれさま」と。
全28巻の最終回「新たなる時代へ」でした。
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