「妖怪人間ベム」は人工生命体であるベム、ベラ、ベロの3人が、人間にバケモノ扱いされながら、その人間を守ることで彼らも人間になれると信じ、闇に紛れて悪人や妖怪を退治していく作品です。
「早く人間になりたい!」とシャウトする主題歌も強烈でした。
さて、この作品の元となる「せむし男」が差別用語で欠番となっていた事実をご存知でしょうか。
この作品は、何度も再放送をくり返したため、幅広い世代に人気を博した作品ゆえ、ソフトも充実していました。
まず1989年にパック・イン・ビデオから全話収録のVHSビデオが発売されました。
しかし、1992年にMERIDAから発売されたレーザーディスクBOXでは、不適切なセリフが無音加工され、第4話のサブタイトル「せむし男の人魂」(1968年10月28日放送)から「せむし男」が外され、「人魂」に改題されました。
さらに1996年にマクザムから発売されたVHSビデオでは、ついに第4話そのものが未収録となったのです。
ちなみに同年、古典の名作「ノートルダムのせむし男」がディズニーでアニメ化されましたが、その邦題が「ノートルダムの鐘」に変えられていました。
日本のメディアが、古き蔑称を死語にしようと封じ込めにかかっていた時代です。
しかし古い作品のオリジナル性を重視する風潮に風向きが変わってきた2010年、ビクターエンタテインメントから発売されたDVD-BOX、さらに2012年に発売されたブルーレイBOXで、ようやく「せむし男の人魂」がタイトルもそのままに収録され、ついに「妖怪人間ベム」は完全な形での鑑賞が可能になったのです。
そして、「妖怪人間ベム」にはキャラクターの描写に問題が多々ありました。
3人の「3本指」という設定が、身障者に対する配慮からリメイクする都度に変更が生じているのです。
2006年の新作アニメは、”人間体”時の3本指が5本指に増えました。
また、亀梨和也(ベム)、杏(ベラ)、鈴木福(ベロ)が演じた2011年の実写ドラマ版では、ついに妖怪人間に変身したときの指まで5本になっています。
こうして名キャラクターの強烈な個性は、時代とともに薄れていくのです。
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