一般的には、ほのぼのしたイメージが強い「ちびまる子ちゃん」ですが…
作品中期以降に見られる特定のキャラを執拗に非難する描写や、エッセイ本に書かれた数々の発言などから、作者のさくらももこさんの毒の強さは各方面で指摘されています。
現在コミックス未収録となっているのは、1994年に「りぼん」誌上に掲載された「まる子、夢について考える」という回…
物語は洞窟の中で不気味な仮面をかぶった男たちが、「神よ、力を与えよ」と踊り回る光景をまる子が目撃するという唐突な展開から始まります。
まる子は男たちに捕まるが、イケメンの王子様に救出されるのです…
その後、男たちが仮面を外すと正体はクラスメイトの藤木君と永沢君で、かたわらにはハエがたかった小杉君の遺体が転がり、まる子は王子様にプロポーズされた後、十二単を着た野口さんに呼ばれる…という支離滅裂な内容でした。
これらの描写はまる子が見た夢であったのですが…
この話のさらに恐ろしい点は夢が現実を侵食するところだったのです。
まる子は王子様が忘れられず泣き出し、藤木君と永沢君を仮面の男たちの生まれ変わり呼ばわりし、小杉君に「顔に死相が出てるよ」と言い放ったのです。
今となっては、少女漫画誌に掲載されたのが信じがたい回ですが、この話が描かれた当時は「ちびまる子ちゃん」のアニメ第2期のスタート直前…
作者のさくらももこさんはアニメの脚本やエッセイ本の執筆、さらには出産が重なるなど公私で多忙を極めており、ストレスが蓄積していたという噂がありました。
さらに、作中の主要キャラ名をガロ系漫画家の丸尾末広氏や花輪和一氏から引用するなど、元々さくらももこさんはサブカル志向が強く、そのような一面がストレスをきっかけに露呈したのかもしれません。
現在「グランドジャンプ」誌上で独特の切り口の「まんが倶楽部」という作品を連載しているさくらももこさん…
再び読者がついていけないような世界にトリップしてしまう可能性も無きにしも非ずでしょう。
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