読売テレビで1972年に制作され日本テレビ系で全国放送された特撮ヒーロー番組「超人バロム・1」…
複数の主人公が合体して敵と戦う変身物の草分けとなった作品です。
当時、この番組を観た子供たちは、合体の場面を真似て互いに腕を交差させ「バローム・クロース!」と声を上げて遊んでいました。
しかしある日、この「超人バロム・1」が放送中止になってしまうという噂が広まったのです。
ことの発端は朝日新聞に掲載された記事…
神戸在住のドイツ人、ドルゲ氏が「超人バロム・1」のボスキャラ「ドルゲ」と同じ名前のため息子がいじめられてしまうことを心配し、神戸地方裁判所に番組で「ドルゲ」という名前を使わないように仮処分を申請したのです。
プロデューサーはドルゲ氏へ必死の説得と謝罪を行い、「このドラマに出てくるドルゲはかくうのものでじっさいのひととはかんけいありません」とテロップを入れることで了解を得ました。
しかし、その後「超人バロム・1」は打ち切り同然の突然の最終回を迎えることになります…
「ドルゲ事件」が尾を引いたのかと思いきや、それとは違う理由がありました。
当初、テレビ局側はこんなものは話し合いで、すぐ解決できるものだと思っていました…
しかし、ことが裁判沙汰になりかけたとき、妙なところから横やりが入ったのです。
なんと「ドルゲ」という名前に文句をつけたのは、ドルゲ氏だけではありませんでした…
テレビ局の労働組合です
当時放送局の労働組合はナショナルセンターに属していて、共産党の影響が強かったのです。
その中の一部が「ドルゲ」という名は「ゾルゲ」を想起させ、侮辱に当たるとして抗議してきたのでした。
「ゾルゲ」とは、戦前の日本で暗躍し、死刑になったソ連最大のスパイにして共産党の英雄「リヒャルト・ゾルゲ」のことです。
単なる言いがかりとしか思えないのですが、無視できない理由もありました。
この業界のクレームというのは9割方が言いがかりでが、それを笑ってやり過ごせなかったのは、やはり70年安保闘争があり、共産党の力が強い時代だったからだと言います…
それから45年以上が経った今、当のドルゲ氏はどうしているのでしょうか。
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